加工の工程では起毛, 毛さばき, ポリッシャー, シャーリングの4つの流れがあります。
仕上げ加工は非常に複雑で、生地の種類やいかなる風合いの毛布にするかによって、
4工程を複数回行き交うなど様々なルートを通ります。
起毛
起毛は、ニューマイヤー毛布のみ行います。基布の側に表側のパイルを針でかき出ししてきて1枚の毛布に仕上げていきます。緩やかな力で起毛をゆっくりと繰り返しかけていくことにより、きめ細やかな毛が出てきます。
基布側に毛が出た分、表パイルの密度が少なくなってしまうので、その密度のバランスをうまく調整していきます。生地素材, 生地の編み密度, 天候気候によってさえ、適度な起毛の強さが変わってきます。
絶妙な具合で起毛の程度を調整するのはこの道数十年の経験を積んだ職人にしかできません。
毛さばき
乾燥機を通した後の糸1本1本は撚りがかかったままの状態です。糸を開毛するために、針布が巻き付けられたローラーに生地を当てていきます。糸を針で開毛し、撚りを解いて絨毯の様な状態からふわふわした綿の風合いにしていきます。
職人は生地と針が当たるタイミングを眼と勘で数ミリ単位に調整します。生地の底から毛さばきをしっかりかけることでボリューム感のある毛布に仕上がります。
ポリッシャー
毛さばきした後の生地では毛が縮んでいる状態です。
この工程では、生地に熱を加えて毛をのばすことで光沢とボリュームを出していきます。常温の状態から約200度の高熱を加えることで生地が柔らかくなると同時に、毛が縮れているのがまっすぐに伸びていきます。毛布を髪に例えると、ストレートパーマを掛けるイメージです。
熱を帯びたシリンダー(金属製の筒)が回転しています。温度差が異なる2つのシリンダーをあてることで光沢が出てきます。髪で例えると、高い温度でドライヤーを当ててから、低い温度で当てることで艶を出していくのと同じ原理になります。
シャーリング
この工程ではパイルの長さをそろえるために、毛先をカッターで刈り取っていきます。毛の長さが一定になることで生地が滑らかになり、さらに柄もより鮮明になります。
高速回転式のスパイラルカッターを使用することで、より刃や生地に負担をかけないで刈りとることができます。また、シャーリング機内に吸引機が付属し、加工の際に発生した微塵も取り除いていきます。